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FOLIO-TAE(辺縁で考える)特集の翻訳

中学2年生のTAE(辺縁で考える)

マリー・ジーン・ララビー
哲学教授、ドゥ・ポール大学

翻訳:大迫 久美恵

 私が最近行なった「辺縁で考える(TAE)ワークショップ」の感想を聞いてください。――「体験するって、すっごくいい!」「これはいつもの思考パターンを超えた考え方をさせてくれる」「私はあらゆることを、これまでとは違ったやり方で見ています」――。これらの声が、中学2年生のものと聞いたら驚くのではないでしょうか。これはTAEを教わった最初の中学生グループのものです。TAEはうまくいきました!

 このプログラムを教えるためのアイデアは、2001年に行なった私の初めてのTAEワークショップの後に生まれました。当時私はドゥ・ポール大学人間学センターの特別研究員のためのプロジェクトを準備していました。2002年秋、シカゴのアレクサンダー・グラハム・ベル学校の中学2年生担当教師に英才プログラムとして提案しました。息子が通っていたので、この学校と教師たちのことはよく知っていました。提案するにあたっては、TAEを一連の創造性ツールであると説明しました。私は、1.5週から3週間ごとに、1時間のセッションを6回行えるよう交渉しました。1時間半のワークショップを8回行なう方が良いのですが。各ワークショップでは、異なる色のワークシートを渡します(「あなたの中の居心地いい場所について書く時には、ピンクの紙に書きましょう」というように)。1時間のワークショップでは、限られたやり方ではありますが、二人組みになることだけはできました。TAEを始めるに当たってフォーカシングを教える必要があったので、the Focusing Institute(フォーカシング研究所)のウェブサイトを訪ね、資料を得るためにthe Children’s Corner(子どものコーナー)を見ました。

ワークショップ1の目標は、「ぼんやりとしてはっきりしないエッジ(辺縁)、からだで感じられる感覚(フェルトセンス)を見つけよう」。自分の「内側」で何が進んでいるかを確認し、それが言わんとしているものを探します。私は、ボディ・アウェアネス(身体覚知)やフェルトセンスのエクササイズを使って、からだの反応に集中する体験を短時間、生徒たちにやってもらいました。肩を上げてみる、拳骨を握ってみる、今日のランチを思い出してみる、吐く息に合わせてみる、レモンを齧るところをイメージしてみる、自分の内側を全部チェックしてみる、などです。私は、その体験が、自分の内にある、ぼんやりとしていてはっきりしないところ――からだで感じられる感覚――へのアクセスを可能にするということ、その「感覚」というのは、五感による感覚と意味の両方に通じるものであることを説明しました。それは意味を運び、それ独自の物語を語ることができるからです。このはっきりしないエッジ(辺縁)は、彼らが自分の創造的なエッジを見つけるであろう場所なのです。

 自分の内側にある「居心地のいい場所」を定めたら、生徒たちに、自分だけの考えを一つ考えるよう言いました。特別だと感じられるような、取り組んでみたい何かがあるかな、と自分の内側に聞いてみると、おなかに「ああ、そうそう」とか「ああ、そうか」という感じがするような考えです。私は生徒たちに、「内側に、グルグルと頭を悩ませるような、困ったところがあるかな」「その難問を、ある質問形式にすることができるかな」「さっき見つけた自分の中の居心地いい静かな場所から、それら自身が答えになりたがっているような、答えの始まりがあるかどうか尋ねてみよう」と言いました。何か言いたいことを感じられたかどうかも聞きましたが、「公共の」言葉というのは、必ずしも言いたいことの全てを語ってくれるわけではありません。私は生徒たちに、TAEの始めのステップは、自分の言いたいことを言うための言葉や、生き生きした語句を使えるようにしてくれるのだ、と説明しました。

 ワークショップ2では、フォーカシングとTAEについての簡単な話から始めました。私はハンドル(取っ手、手がかり)を得るということはどういうことか、エッジにもっと語ってもらうとはどういうことかを説明しました。「クリアリング・ア・スペース(空間作り)」も紹介しました。私は、自分のTAEの考えを内側の整理された空間へと持っていくと、その全てがからだの中でどんな感じがするかを尋ねました。それがOKだと感じられたら、今度はTAEのワークに焦点を当てていきます。あとに続く各ワークショップでは、「ぼんやりとはっきりしないエッジでの確認」「クリアリング・ア・スペース」「少しの間それと共に居る」「私たちのTAEワークを始めるのはどんな感じかを聞く」というステップで始まります。

 生徒たちに再びぼんやりとはっきりしないエッジを確認してもらい、「具体例を見つける」というステップ1を終えました。私はステップ2の非論理的な文について触れましたが、これにはそれほど時間を費やさず、誰かが一文を見つけられたかを聞くだけに留めました(一組がそれを読み上げました)。ステップ3はもっと詳しく扱いました。公共的な意味について、またその利とするものと限界について少し話し、その三つの単語の辞書的定義と、その単語で自分の言いたいこととが一致しているかどうかを、そのぼんやりしたエッジのところで確認してもらいました。ステップ4はパートナー同士でやってもらいました。ステップ4は自分だけのやり方で単語を定義するチャンスになり、それはおそらく単語や語句を変えて自分だけの意味を書き留めていくことでできるということを説明しました。そしてステップ5を紹介し、宿題にしました。

 ワークショップ3では、2枚のワークシートを用い、白い紙は前回のワークで得たキーポイントを書いて、ステップ4の修正主文を仕上げるのに使い、明るいオレンジ色の紙はステップ6とステップ7のために使いました。私は、ステップ1からの主文を全ての6つの単語や語句の中に置いてみて、文がはっきり意味を持つようになるまで―特に不明瞭なエッジが明確になるまで―単語をいじくって遊んでみる、という修正のやり方について説明しました。そして生徒たちに、ステップ1とステップ5で扱ったトピックの分野のために語彙を発展させ続けているけれども、今は自分の理論を助けるための他の素材を探しているのだ、ということを説明しました。それは、私たちのTAEフェルトセンスからくるものであったり、関係のある生活上の様々なできごとやハプニング、事実、具体例や多くの局面について、TAEのぼんやりとはっきしないエッジやフェルトセンス(感じられた感覚)に聞いてみることによって得られるものなのです。生徒は実例が「へんてこりん」にみえるかどうかは心配していませんでした。へんてこりんであってもOKですし、実際のところ、ステップ2の非論理的文章としてへんてこりんな何かを作っていたかもしれません。生徒たちはこのワークをパートナー同士で行ないました(ワークショップを簡潔にするために、私は生徒たちに、一つのワークショップにつき一つの課題をパートナー同士でやってもらうようにしていました)。

 ワークショップ4では、生徒たちに、ステップ6で導かれた4つの具体例から最も重要な部分を紫色のワークシートに書いてもらいました。それからステップ7として、ピンク色のワークシートにその詳細やパターン、あるいは構造を書いていきます。ステップ8―様々な局面の交差―も紹介し、いくつかのものすごくへんてこりんで、いかしたものがこのステップから生まれるから、少なくとも一組の局面同士でやってみるように説明しました。ステップ9―自由に書く―を紹介し、ここではワークショップの最後の5分を使って行い、家に帰ってからも少なくとも20分は続けてみるように伝えました。

 ワークショップ5では、ステップ10からステップ11まで、初めはひとりで、次にペアで行いました。私は生徒たちに、ワークシートを初めから全部埋めていくように言いました。すなわち、生き生きした単語や語句を見つけるためにフェルトセンスに確認しながら、そしてワークシートにリストを書いて、三つの最も重要な用語を指摘してもらい、それにA、B、Cをつけてもらうのです。私はそれらの用語を、からだの内側の静かに整えられた空間の中に抱えておくように、そして、ステップ2の非論理的な文章が、A−B−Cの三角形の真ん中のどこかにあるかどうか、探してみるよう言いました。あるいは、以前に非論理的な文章を見つけられなかったとしたら、おそらくA−B−Cを並列させることで生まれてくる、私たちが「非論理的な核心」と呼んでいるものの中に見つけられるかもしれません。それは、文章にする必要はないけれども、ぼんやりとはっきりしないエッジで「ははぁ!」と思えるようなものです。私は、非論理的核心とは、三つの用語が何らかの形で互いにぶつかり合うように感じるもので、全然気持ちよくぴったりこないということ、でもそれ以外は、非論理的な核心は理論にとっての小さな原動力だけれども、何か面白い発展につながるかもしれないということを説明しました。それからステップ10の次の部分、これらの用語がどんなふうに互いに論理的に関係しあっているかを確認する作業に移りました。ステップ11はペアで行ないます。ステップ11では、二つの用語が必ずつながるように相手に何度も尋ね、それを強く要求していくことを説明しました。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

 ワークショップ6でステップ12を紹介し、自分の理論の核心を作り上げるのに必要な全ての素材を、とうとう君たちは手に入れたということ、そしてそこからアイデアがどんどん流れ出てくることを説明しました。生徒たちはペアになって、「A=B」「A=C」となる文章を書き、理論のための新しい文章を作るために先に進み、同じく「B=C」となるように、そして今度は用語Dではどうか・・・というように、作業を進めていきました。

 私は7回目のミーティングを開き、その中で生徒たちは、ある授業で家族や友人、教職員とシェアするために、自分の理論の要素やTAEの体験を選んでいきました。私は生徒たちをまわって、彼らのワークシートの細かい所に肯定的な評価をしていきました。

 おわりに:TAEは中学2年生にも成功裡のうちに教えることができます。ほとんどの生徒はフェルトセンスを難なく見つけます。「ぼんやりしたはっきりしないエッジ(辺縁)」についての彼らの感想を紹介しましょう。「(それは)大きくて黒い泡の形のもの・・・そして捕まえられそうなほどに漂い出てくる微かな煙、独創的な感じのする何かがそこにあって、僕の最も深いところにあるものからやってくる。」「空っぽなところに行って考えることを止め、そして何かを見つける・・・目覚めのような―これは頭が思考を始めるべき時。」「内側の場所・・・(そこでは)ただ自分自身でいられるし、どんな考えであろうと解放されていて、ありのままでいられる。」「私の中のまさに地理的中心にある、確かな(何か)。」

 多くの生徒が、自分自身の考えを見つけ「させられる」ことにワクワクしました。「一番いい部分は、自分自身を表現でき、普通に考えてきたことの外側を考えること―それは自分自身を見つけさせてくれる。」「(TAEは)以前やったことのないようなもの」。「(TAEは)私の頭を広げてくれるもの。私はこの授業を受けられて本当に幸運でした」。TAEは、通常、自分のユニークな思考を表現できるような何らかの「専門的分野」を持つ大人に提供されています。中学2年生でも、家族との生活、友達やペットを持つこと、趣味や特定の関心の追求といった「体験的な専門分野」があるのです。それは、きっかけさえ与えられれば、生活や教育によって固められた「枠」の外側に表現できるものなのです。少し例を挙げましょう。ある生徒の三つの用語は、「自己」「実感」「バランス」でした。ステップ10、ないしステップ11でできた彼女の三つの文章は、「自己は実感することなしにはありえない。」「自分自身でいるために、変化することで信頼のバランスを取るようにせよ。」「バランスが取れる前は、自分じゃないということを実感せよ。」というものでした。他の生徒は、「時制的アイデンティティの核心は、時間のもつれを解き、はっきりと見通せる将来を創ることである。」「秘密は言葉を隠し、かつ見せる。しかし時には探されて覆いを外される。」と書きました。小学6年生とプラトンについて議論したことのある哲学者としても、TAEを彼ら中学2年生に教えるのは、本当に目が覚めるような経験でした。私の提案は、「あなたがもしTAE(の少しでも)を自然にできるくらいに身に付けていて、それとあなたのよく知っている子どもたちとの間につながりが感じられるのであれば、ぜひTAEをやってみてください」ということです。おそらくあなたも驚かされるでしょうね。
 

This page was last modified on 03 November 2004

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